支える人々

いつ訪れても心地よい庭園のために

日々行われる開演前の清掃作業には、落ち葉の清掃や古くなった竹垣(四つ目垣)の修復などのほかに、
他の庭園では見られない様子を見ることができます。それが一番良く見られるのは開演直後。庭園に足を踏み入れると、
まるで枯山水の庭園にある「波紋」のような波模様が園路に広がります。
美しい波模様は、踏まれていない新雪の上をはじめて歩くような感覚で、朝の新鮮な空気とともに訪れた人へ心地よさを感じていただけるものと思います。

テツへのこも巻き作業
季節の風物詩、コモ巻き
冬の訪れを前に園内の松やソテツに「コモ」を巻きます。同じ「コモ巻き」でも、松とソテツでは目的が異なり、松は害虫駆除、ソテツは寒さ対策のために行います。
松は園内に約370本あり、その1本1本に庭師が手作業で巻いていきますが、とても手際よく、4~5名の庭師で約3時間ほどで作業が終了します。巻かれたコモは翌年春3月に外されますが、最近では害虫の姿を見ることは殆どなく、季節の風物詩の要素が強くなっています。
藁で作られたこも
松の幹に巻かれたこも

見映えを考え配置された植物
縮景園では最も本数の多い松のほか、梅や桃、桜やモミジなど様々な植物があります。多くは、それぞれをまとめて、スポット的に見て愉しめるよう配置されています。しかし、それ以上に木々それぞれが映えるようにも考えられています。例えば、桜やモミジのような赤・ピンク色の花が映えるよう、その背景には常緑樹を植えたり、あるいは花の量や色づきを良くするため、水やりと肥料で細かく調整するなど、繊細にコントロールされています。

淡水と海水の混ざる汽水の池
縮景園の池(濯纓池)の水は、北側を流れる京橋川から引いていますが、比較的河口に近い場所にあるため、淡水と海水が混ざる、汽水となっています。
汽水の池を持つ庭園は非常に珍しいのですが、塩分濃度が高くなると鯉などの淡水魚は弱ってしまいます。そのため、日々塩分濃度を測定して、魚が弱らないように井戸水を加えるなどにより調整しています。また、汽水であるため海水魚であるチヌ、ボラ、スズキなども同居しています。

縮景園の主木である松は園内に約370本あります。
たとえば、庭園を入った直後に左右に並ぶまっすぐ伸びた松や、山沿いに立つ大きくダイナミックに曲がった松、池の中の小さな島に盆栽のように立つ小さな松など、形や大きさも様々な松があります。
縮景園の庭師はこうした様々な形状に応じた手法により、一年を通して手入れを行っています。

特に縁手入れと呼ばれる手法では、盆栽と同じように年2回の剪定を行います。園内にはこの手法により手入れする松が約130本あり、熟練の庭師が1回の手入れに2~3日かけ、丁寧に作業を行います。

特に縁手入れと呼ばれる手法では、盆栽と同じように年2回の剪定を行います。園内にはこの手法により手入れする松が約130本あり、熟練の庭師が1回の手入れに2~3日かけ、丁寧に作業を行います。